農業はどのような特色を持った職業なの?3つの形態について

では、自営業の中で、農業というのはどのような特色を持った職業なのでしょうか。

「ミカン栽培農家」「米農家」など、いろいろな農業がありますが、どんな農業でも共通しているのは「製造業」であるということです。
農業であるからには、実際に「モノ」を生み出しています。農業という職業は、100%「モノづくり」の職業です。

しかし、農家の仕事とは製造業だけに限られたものでは、ありません。製造業の上に加わるものもあります。例えば、「製造業」に加えて「加工業」も営んでいる農家もあります。

自分のところで採れた大根を、タクアンにして出荷すれば、その農家は製造業であり、加工業でもあります。

さらに、そのタクアンを、店に卸すのではなく自分で販売したならば、その農家は「製造業」であり「加工業」であり「販売業」でもあります。

つまり、「製造業」「加工業」「販売業」という区分で考えれば、農業には4種類の農業があることが、お分かりいただけると思います。

農業には、栽培品目によって「ミカン栽培農家」「米農家」というように区分することもできますが、業種によって区分することも出来ます。

あなたがやりたい農業は、どのような形の農業かを、より明確にするため、この視点から自分のやりたい農業を見つめることも必要になります。

製造業としての農家

例えば、ケチャップ会社と契約して、出来たトマトは1キロ 500円で全て買い取ってもらうという農家がいたとします。

その場合、この農家が考えるのは、「製造」のことだけです。

できるだけ肥料代や農薬代を抑えて、収穫を多くするというのが、農家の仕事になります。加工や販売のことは、一切考える必要がありません。

こういう場合は、農家の仕事は製造業だけに限定されています。実際、日本の農家は、ほとんどは農協に出荷しています。市場価格で作物の価格は決まりますから、自分の努力で高く売るということは、出来ません。

多くの農家にとっては、収入を上げるためには「効率よく製造する」という以外の方法がありません。薄利多売という経営になってしまいます。「製造業」だけを行う農家には、高度な生産技術が求められています。


「製造業」と「加工業」の農家

自分でトマトを栽培して、そのトマトでケチャップを作ったとしたら、その農家は「製造業」と「加工業」になります。

そして、自分で販売は行わず、そのケチャップを、卸売業者に売ってもらったとしたら、この農家は製造業と加工業を営んでいることになります。

しかし、実際は「加工」を営む農家は「販売」までも営む場合が多いため、「製造」と「加工」のみという農家は、多数派ではありません。



「製造業」と「販売業」の農家

自分でトマトを栽培して、個人契約したお客様に販売すれば、この農家は「製造業」と「販売業」を兼ねていることになります。

また、主力作物であるトマトは農協や卸売会社にゆだねるので、トマトとしては「製造業」ですが、冬に作ったレタスを自分で販売したならば、レタスに関しては「製造業」と「販売業」という形になります。

有機無農薬農家には、この形態が多いです。消費者と直接つながることが、安心安全につながるメリットですから、有機無農薬農家は個人的に販売していることが多いのです。

また、消費量が少ない野菜などの場合、農協を通じた既存の流通経路が整備されていないので、個人で販売せざるを得ない場合があります。日本にも、アーティチョークや、アボカドなど、国産品は非常に珍しい農作物を栽培している農家もあります。

その土地において、大規模に産地化されていない作物を、あなたが独自に栽培する場合は、自ら販売せざるを得ないといった形になります。



「製造業」と「加工業」と「販売業」の農家

自分でトマトを栽培して、トマトケチャップをつくり、生のトマトや、ケチャップのような加工製品を、ネット上等でお客様に直接販売したとすれば、この農家は「製造業」と「加工業」 と「販売業」を兼ねていることになります。

このような形態をとっている農家は、製造業という一次産業と、加工業という二次産業と、販売業(サービス業)という三次産業をすべて兼ね備えているため、1+2+3=6、六次産業と呼ばれることもあります。

既存の流通経路では、流通や販売などのマージンが多く、生産者の手取りは、ごく少ないものになります。そのような中間マージンが発生する経路を、農業者自身が担うことによって、農業所得を高めようという狙いがあります。

レストランを経営したり、農家民宿を経営したりというのも、六次産業の一つの形態です。これからの時代、注目されている農業の形態です。

農業といっても、業種の違いによって、4種類の形態に分けることが出来るのです。

唯一共通しているのは、どれも製造業という土台があるということです。逆に言えば、製造業だけが唯一、純粋に農業といえるのかもしれません。

ケチャップを作って販売している農家は、農家というより も「農業」と「ケチャップ加工業」と「小売業」を兼業している人だと考えることもできます。

つまり、農作物をつくるという、純粋な農業というのは「農家」の仕事の一つであって、農家は本来はいろいろな仕事をする職業なんです。

野菜を作る、野菜を加工する、販売する、農閑期には手工業で置物なども作る。直売所が近くにあるならば、土産物や、お弁当、お惣菜などを作って、販売している農家もあります。

「農産物生産」だけでなく、あらゆる仕事が複合しているのが、農家の仕事です。

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