愛媛でビニルハウスでトマトを栽培しているYさんの話

Yさんの前職は、東京の公務員。


Q.01 就農前は、どこに住み、何をしていましたか。

東京です。29歳で愛媛に来るまで、ずっと東京に住んでいました。東京での仕事は、事務職の公務員でした。



Q.02 就農前の仕事の年収は、幾らでしたか。また、休日はありましたか。

収入は、税込みで500万円を切るくらいです。
休みは、土日休みで、勤務時間は8時半から5時が基本でした。



Q.03 家族構成を教えてください。

就農前は独身でした。現在は結婚して、子供もいます。



Q.04 現在、農業収入は、どのくらいありますか。

去年は売上で、ちょうど300万円くらいです。
経費を引くと、ほとんど残らないです。

ハウスを建てたお金を、月に6万円、農協に返しているんです。
冬に焚く重油代とか、資材のお金とかを引くと、手取りは100万円も残りません。


Q.05 現在、農業以外の収入、はありますか。

夫婦ともにアルバイトしているんです。
収入は、2人合わせて、年間100万円くらいです。



Q.06 売り先はどこですか。

現在、売り先は直売所がほとんどです。
あとは給食センターとか、お店に持っていったりしています。



Q.07 平均的な1日のスケジュールを教えてください。

朝は、僕が配達に行って、妻が収穫をしています。
僕も帰って来たら収穫をして、大体午前中には収穫が終わります。

昼からはトマトの誘引をしたり、剪定をしたり。
夜は出荷のための箱詰め作業をしています。



Q.08 栽培作物と、栽培面積を教えてください。

売上の9割はトマトです。
あとはオクラとかキュウリ、ピーマンなどを、家庭菜園みたいな形で栽培しています。
トマトは10アールのハウスで栽培しています。あと、稲作もやっています。



Q.09 休みはどれくらいとっていますか。

無いですね。正月も何も無いです。



Q.10 忙しい季節は、いつ頃になりますか。

5月から7月くらいです。
忙しいときは、朝5時半くらいから、暗くなるまでハウスにいます。
夜、子供を寝かせてから袋詰めをして、終わったら夜の1~2時というのが、 何週間か続きます。よほど調子のいい年ですと、2カ月くらい続きます。



Q.11 暇な季節は、いつ頃になりますか。

暇ということは無いけれど、冬場ですね。採れる量が何分の一かになるので。
暇な季節は、夜暗くなるまでは仕事をしても、家に帰ってやることは無いという感じです。



Q.12 現在、住んでいる家は、どのようなところですか。

一軒家の借家です。
世話をしてくれた役場の人がいて、その人の親戚の持っている家で、うまいこと空いていたのがあったので、そこに入れたんです。

家賃は1万8千円です。広さは、6畳・8畳・3畳、あとは昔の家だから、部屋だか廊下だか分からないところが、ありますね。



Q.13 農業を志してから、現在までの経緯を教えてください。

僕は、年をとったら農業したいなと、軽く考えていたんですよ。
まあ、農業をしたいなというより、田舎に住みたいなというのが、最初にあったんです。それで、田舎に住むんだったら、農業かな、と。

東京で農業向けのフェアがあって、行ってみたら、どんどんやるぞという気が、1~2年の間に起こってきたんです。東京の普及センターに行ったり、農業会議に行ったりしていたんです。

自分の気持ちが、やろうという具合に盛り上がってしまって。ちゃんとやるんだったら、30歳ぐらいまでに仕事をやめて、若いうちにやろうと考えたんです。

でも自分の周りに農家もいないし、何も分からなかったので、自治体の世話になったらいいだろうと思ったんです。
本などで日本全国の、そういう情報を集めたんです。

県や町が研修費という名目でお金を出しますというのが、結構、何件かあったんです。そこで一番高かったのが月15万円で、愛媛は15万円だったんです。
愛媛以外にも15万円のところは幾つかあったんですけれど、そういうところに全部電話したら、たまたま担当者が親切だったのが愛媛県の人だったので、資料を送ってもらったり、案内してもらったりしたんです。

愛媛県の人に、研修先として何カ所か選んでもらって、松野町の農業公社も研修生を募集していたんです。

そこの研修生として、2年間、研修を受けました。そこではトマト栽培と、各種苗の育苗をやって苗屋さんに出したりしていました。2年間の研修を受けたあと、独立して就農しました。


Q.14 松野町のほかの、移住先候補はありましたか。

愛媛県にしようと決めてから、愛媛県の担当者の人に、愛媛県で研修生を募集しているところを、幾つか教えてもらったんです。
休みの日に、松野町を含めて、数カ所まわりました。
松野町には、決めるまでに3回来ました。

景色としては、佐田岬のほうもいいと思ったんですけれど、そこで作物をつくっても農協に出すくらいしかルートがない、作物もミカンくらいしかない、ミカンといっても県内のほかの産地よりランクが低いから値段も低いということで、これは苦しいかなと思ったんです。



Q.15 農業を志してから移住するまでは、どれくらいの期間かかりましたか。

行動を起こしてから移住するまでは、1年くらいです。



Q.16 農業を志したきっかけは、どのようなことですか。

東京にいたころは、休みをとりやすい職業でしたから、ゴールデンウィークや夏休みに1週間くらい休みをとって、この辺にもツーリングで来ていたんです。
こんなところに住みたいなと、思っていたんです。



Q.17 就農前の仕事・学業などの経験で、農業に役立っていることは、ありますか。

無いですね。




Q.18 トマト栽培をやるというのは、いつごろ決めましたか。

研修先がトマトだったし、トマトはもともと好きだったんです。
研修を受ける前は、トマトと決めていたわけではないんですが、研修を受けてみて、やってみようと思いました。



Q.19 農業を始めて、肉体的なきつさは、ありましたか。

研修のときは、全然なかったです。8時半から5時ですからね。



Q.20 就農前に農業に抱いていたイメージは、農業を始めてみて変わりましたか。

農業が忙しいというイメージは、ありませんでした。

自然の中で働いて、収穫のときは忙しいけれど、そうじゃないときはゆっくりできる。そのかわり生活はサラリーマンに及ばないくらいの低い所得、というイメージだったんです。

実際にやってみたら、忙しいときは寝る時間を削って、そうじゃないときも年中無休でやるという状況でした。
でも、やってみてわかったのは、うちは所得が少ないけれど、農業で1000万円を超えている人が結構いて、びっくりしましたね。

あと、農業を始める前は、例えばベランダで1本のトマトを作っていて、これが何百本になったらどうなるのかなという感覚だったんです。でも自分でやり始めたら、農作業というよりも、経営・自営業という感覚が大きくなってきました。
それは、農業をやる前は全然思っていなかったです。

例えば、新聞に1キロ何百円とか、市況が出ているでしょう。そういうのを見て、「じゃあ何キロ出せばこれくらいか」と思うだけで、経費がどれくらいかかるとか、分からないでしょう。その程度の考えだったのが、自分で始めたら、種を買って何万円、水道代何万円。それは、やってみて気づいたことです。



Q.21 研修は、どのようなものでしたか。

研修を受けた施設は松野町農林公社で、第三セクターというやつですね。

トマトは、年に2回種まきをして、苗をつくって、植えつけをして、植えつけたらあとは農家と一緒です。葉っぱをとったり、枝をとったり、誘引したり、実がなったら収穫してパック詰めして、農協まで持って行ってという流れです。

作業時間は、8時半から5時です。土日休みという話だったんですが、収穫作業があったので、実際は休みがありませんでしたね。



Q.22 研修中の収入は、ありましたか。

県の研修生だと15万円の研修費が出るはずだったんですが、結局、県の研修生の枠がいっぱいだったんです。

それで「県」の研修生ではなく、「町」の研修生は枠があったので、町の研修生として入りました。なので、研修費は月に12万円でした。面接だけを受けて、研修生として入りました。



Q.23 研修中に、つらかったことは、ありましたか。

人間関係ですね。よそから来た人というのが、農業関係では、この町では後にも先にも僕以外は、いないんです。

この町に来たときに、新聞社の人が取材に来たり、テレビに来たり、雑誌に載せてくれとか、来たんです。

そうすると「あいつは、ろくな野菜も作らないのに、テレビとか新聞に出て」と言われるとか、露骨な厭味を言われるとか、そういうことがありました。

最初は、独立時に耕作する土地を、2年間の研修中に町が世話してくれる話だったんですけれど、結局それもやってくれなかったんです。

なので、自分で土地を探して、町の世話役みたいな人に頼んでも 「どこの馬の骨とも分からない人に、そういう世話は出来ないな」と面と向かって言われたりして。

そりゃ、「がんばってよ」と言ってくれる人もいるし、野菜や魚をくれる人も、いらっしゃるんですけれどね。



Q.24 研修は役に立ったと思いますか。

僕が研修したような、第三セクターのような施設で研修を受けるより、そこらで作っている農家さんで研修を受けたほうが、絶対に勉強になると思います。
本来、農業をやりたいという人が、朝8時半から夕方5時までというのは、違うと思いますし。



Q.25 2年という研修期間は長いと思いますか、短いと思いますか。

トマトを作るなら、1作をやったら十分です。ですから、1年も要らなかったです。
トマトの種まきから、全部とり終わって片づけるまでの1作を作ったら十分という内容でした。



Q.26 農業に使う自己資金は、ありましたか。

土地が、22アール(2200平米)あるんですけれど、その土地を買うのに300万円かかりました。

土地を貸してくれと、あちこちに言っていたんですけれど、結局、貸してくれる人が見つからなかったんです。「売るんだったらいい」という人が1人だけいたから、しょうがないと思い、購入しました。
あと、独立時にハウスを建てたときに、ハウスのお金の半分は、県の支援事業で補助がおりて、残りの半分が自己負担になるんですけれど、それも農協からお金を借りて返済していくという仕組みだったんです。

初期の自己負担は、水道を引いたりとか、ブロックを敷いたりとか、100万円いかないくらいでした。そういうお金は、農協から借りることが出来なかったんです。

特に大きな機械を買ったわけでもないので、初期に使った自分のお金は、400万円いかないくらいです。

機械は、独立からしばらくして動力噴霧器を20万円で買いました。あと、中古のトラクターを3万円で買いました。もうギリギリ動く中古でしたね。



Q.27 資金の借り入れをしましたか。

農協から600万円くらい、借り入れました。フレッシュファーマー支援事業というやつで、今はその制度自体が無くなっちゃったんですけれど。

金利は、詳しくは忘れたけれど、10年返済で、600万円に対して余分に払う利子が50万円くらいでした。

そのとき、土地とハウスで、600万円くらいを農協でリース組んでやったんですけれど、「保証人をつけろ」と言われたんです。しかも、「同じ農協の管轄内で2人出すように」と言われたんです。

知り合いもほとんどいないのに、それは無理だろうと思いました。そう農協に言ったら、「じゃあ同じ農協の管轄外でもいいけれど、保証人は2人要る」ということで、東京の両親に保証人になってもらったんです。



Q.28 独立時に、どのような農業形態をとっていましたか。

3月いっぱいまで研修だったんですけれど、自分のハウスに植え付けは1月にしたんです。1月~3月は研修と、自分のハウスを並行でやらせてもらったんです。4月に初収穫があって、出荷して、1カ月後ぐらいに入金でしたね。

1年目は農協に出していたので、農協の場合は、値段が安くなるか高くなるかだけで、持っていってはくれるんです。

1年目は2000本のミニトマトを栽培していました。それを全部、農協に出していたんです。ミニトマトをパックに詰めて、というのは、しんどいんです。多いときは夫婦で1日に1000パック詰めていたんです。しんどかったので、翌年はミニトマトをちょっと減らして、大玉トマトを増やしたんです。

売り先は、最初は農協主体だったんですけれど、今は直売所に出しているんです。直売所に出すのにミニトマトだけ2000本やってもしょうがないから、大玉トマト、中玉トマト、黄色いトマト、キュウリやピーマンもやりだしました。

2年目に、直売所で100万円の売上があったんです。今年は5箇所の直売所に出しています。



Q.29 経営面で苦労したことは、ありますか。

売り先ですね。みんな簡単にインターネットと言いますけれど。それで成功して1000万円を軽く超す人もいるけれど、僕はインターネットどころか、パソコンもろくに使えないんです。

最初は、地元の仕出し屋さんとか、お弁当屋さんや、給食センターに、買ってくださいと頭を下げに行きました。町内の小さいお店に、買ってもらっても月に1万円ぐらいのところでも、一生懸命、頭を下げて回りましたね。

そうすると、そこの紹介でほかの店に広がったり、少しずつ増えていくという感じでしたね。僕は、前職が事務職だったので、営業なんかしたことありませんでしたから。



Q.30 農業の中で経営部分は、どれくらいを占めると思いますか。

もちろん、ちゃんとしたもの、おいしいものを作るというのは、100%必要な前提なんですけれど。その上で、5割以上は「売ること」じゃないですかね。



Q.31 1年間にわたり、各月にどのような作業をしていますか。

ハウスに、トマトの列が10列あって、それを3列ずつぐらい、1年中出せるような形でトマトを作っているんです。ほぼ周年で出せるような形にしています。



Q.32 おすすめの農作業グッズは、何かありますか。

ラジオは使いますね。
知り合いには、ハウスにコンポを置いている人もいます。

長靴なんかも、東京にいたときは使ったことなかったし、自分で農業を始めて 何カ月か経ってから買ったんですけれど、使いはじめたら長靴だけになりましたね。普通の靴だったら朝露でぐしょぐしょになりますし。



Q.33 自然災害で被害を受けたことは、ありますか。また、保険に入っていますか。

1年目にトマトが青枯病で全滅しました。台風で全滅したこともありますね。

保険には入っています。共済です。「NOSAI」って、ありますよね。
全滅したときは、実がついて、あと1週間もしたら収穫できるだろうというところで、全滅したんです。今から、という時だったので、結構保険金をもらいました。そのときは60万円くらい出ました。つまり、2000本のミニトマトを今から収穫という時だったので、それの補償と、ハウスの補償を合わせてです。
次の年にも半分くらいやられたんですが、収穫の終わりに近い時期だったので、おりた保険金は数万円でしたね。




Q.34 独立して楽しかったこと・つらかったことは、何ですか。

やっぱり楽しいですよ。家族で一緒にやるというのは。
逆につらいのは、不安ですよね、大丈夫だろうかというのが。
また病気にならないかとか、台風が来ないだろうか、とか。



Q.35 現在までの、各年の農業売上は、どのくらいですか。

去年は300万円くらいです。一昨年が一番良くて、500万円くらいです。
その前(3年目)は少なくて、その前(2年目)もうまくいって500万円くらい。
夫婦2人が一生懸命働いて、売上がこれだけだからですからね。



Q.36 収入は、月によってばらつきは、ありますか。

冬場は、今は重油が高いでしょう。ですから、売上が重油代に足りないようなときも、ありました。

売上では、夏場の5~6月に、1年の3分の1以上が固まっていますね。5~6月で、月あたり最高で売上が90万くらい、というのがありました。逆に、冬場に4カ月所得が無い、というときも、ありました。



Q.37 農業について、将来の目標は何ですか。

いろんなものをつくりたいです。多品目でやっていきたいです。
ただ、まだ栽培を上手に、満足いくぐらいに作れていないですから。まずは、そこですね。



Q.38 移住にあたり、不安だったことは、ありますか。

ご近所付き合いは不安でしたね。いまだに難しいです。

わかりやすく言うと、うちの近所で、僕とご近所さんが話しているところに、知らない人が通り掛かったとします。そこで「この人誰」と聞かれたら、普通だったら「吉野(地区)の東さんよ」って紹介されると思うんですよ。
だけど、「東京のYさんよ」って言われる。移住して何年にもなるのに、いまだにあります。

そういうのも、ごく一部の人だろうけれど、どこの馬の骨ともわからない、と思われているんだろうな、と感じますね。

また、この地区は、みんな名字が同じで、親戚なんですよ。親戚じゃない人は、うちぐらいで、みんなは昔から知っているんです。

自分が陽気で「どぉーもー(笑)」みたいに言える人だったら、すぐに入っていけるんでしょうけれど、そんなタイプじゃないから、なかなか入っていきにくいところがありましたね。



Q.39 移住について、家族の反対はありましたか。

親は、もったいないなと言っていました。反対というわけじゃないけれど、せっかく安定した収入があるのに、という。





Q.40 地域社会に溶け込むために、気をつけていることは、ありますか。

消防団とか、地区の役員とかをやっています。移住して1年経たないうちに、まず消防団をやって、保育園の役員とかも、やりました。



Q.41 この地域に受け入れられやすい人は、どういう人だと思いますか。

こういう言い方は本来良くないんでしょうけれど、明るい人か暗い人でいったら、明るい人。あと、何でもしゃべる人ですね。

ここの人は、噂話とかに興味しんしんだから、自分から「僕はこういう人なんです」というのを言っていく人ですね。

そして、何でも集まりがあったら、どんなに忙しかろうが、溝掃除・草刈り・学校の行事、どんなにおもしろくなくても、顔を出す人です。



Q.42 地域の活動では、どのような作業をするのですか。

河川敷の草刈りが、年に3~4回。あと、田んぼの水路の溝掃除とか。
消防団だったら、火事があれば行くのは当たり前です。年に3回くらい訓練会があって、その会の前には練習もあるし、年末は火の用心みたいなのも、やります。

みんなで集まって楽しいという人もいるでしょうけれど、忙しいときには「まだ袋詰めが終わっていないのに、会に行ったらきょうも夜1時になるなあ」とか、そんなことを思うこともあります。(笑)





Q.43 地域の人から、頂き物をすることは、よくありますか。

たまに、ありますね。最初は知らなかったんですが、スーパーのトレイ、あれでものをくれる人は、お返しはいらないんです。

ちゃんとお皿とか鉢に入れてくれる人は、そこに何かを入れて返さないといけないんです。それが、昔からの暗黙の了解だと聞かされたんです。そうしたら、その鉢をきれいに洗って、トマトがある時期だったら、トマトを入れて、返してということです。



Q.44 都会の人と、この地域の人の違いを、感じることはありますか。

東京でアパートに住んでいたときには、隣の人の名字も知らないし、興味もなかったんですけれど。ここは、そんなことは絶対ないですね。

例えば、夜2時まで仕事していたら、翌日に「昨日は2時までやっていたね」って言われるとか。

来たときに、ここら辺の人に「よその子が平気で入ってきて、冷蔵庫空けて、ジュース飲んだりする」って言われて、嘘だろうと思っていたんだけど、本当だった。(笑)

それを、いい方に考えたら、家の鍵をかけなくても安心できるということだし、悪い方に考えたら、プライバシーが無いということですね。



Q.45 買い物などに不便は、ありますか。

車で十数分の所に、スーパーやドラッグストアがあるので、不便は無いです。

病院は、近くに小さい診療所があるんですけれど。そこでは不安だから、何かあったら車で十数分のところに大きな病院があるので、そこに行きますね。


Q.46 この地域に都会の人が住む場合、どのように家を手に入れたらいいですか。

ここには不動産屋が無いし、住む方法は、下手したら無いかもしれませんね。
僕は役場で世話してもらいましたが、担当者の当たり外れも、ありますから。



Q.47 バイト・パートをしようと思った場合、働き口はありますか。

それが、結構声がかかるんです。僕が今行っているのが、警備会社で、何かあったときに行くという仕事なんです。会社は宇和島市にあるんですが、警報が鳴ったときに松野町まで来たら40分くらいかかるから、とりあえず駆けつけるというバイトがあるんです。

警報が鳴るといっても、泥棒が入るなんて無いですから。たまたま警報機の近くを蛾が飛んだとか、ネズミが走ったとか。そういうときに会社から連絡が入って、行くというバイトです。1回も呼び出しがなくても、月に2万5千円。
夏場は虫が多いから、月10回ぐらい行きますけれどね。

妻はホームペルパーをやっていて、年間で数十万稼いでいますね。

あと、運送会社とか、建設会社での日雇い仕事とか、やってはいないけれど、いろいろ仕事はありますね。



Q.48 この地域で子育てするにあたり、いい点・悪い点はどのようなことですか。

いい点は、車の心配が無いことですかね。轢かれるような心配は無いから。
悪い点は、子供が少ないから、友達が少なくてかわいそうですね。

上の子は、たまたまこの地区に同級生が、うちの子を入れて4人いるんですよ。
これが、上にも下にもいないくらいの多い数。この4人というのは、この地区の話で、小学校全体では、もっといるんですけれど。
だけど、下の子は、この子が1年生になるときには、この子の上が6年生まで誰もいないんです。





Q.49 田舎の生活で退屈することは、ありますか。

基本的にそういうのが好きだから、退屈することは無いですね。



Q.50 田舎暮らしにおいて、良かったことは、どのようなことですか。

家族との時間ですね。

東京にいるときは、保育園の送り迎えなんて出来なかったんですが、今は毎日送り迎えは出来るし、ご飯は一緒に食べられますから。



Q.51 田舎暮らしにおいて、嫌だったことは、どのようなことですか。

やっぱり人間関係ですかね。(笑)




Q.52 移住先を探すにあたり、何か注意することは、ありますか。

長野県の山がいいとか、富士山が見えるところとか、そういう希望がある人だったら、そういうところに行けばいいと思いますけれど。

そうじゃない人だったら、入りやすい条件ですよね。僕の場合だったら、研修費用を出してくれるような自治体だったら、絶対に楽だと思います。



Q.53 田舎で不動産を賃貸・売買するにあたり、注意することは、ありますか。

契約は、無いですからね。普通、不動産屋が仲介したら、契約があるでしょう。
田舎の場合は、ほとんど口約束ですからね。

例えば、田んぼを借りるにしても、最初は「10年間貸します、こっちから返してくれとは言いません」と地主さんが言っても、いきなり「返してくれ」と言われることもありますし。約束とか契約は通じない、向こうの言うとおりなんです。

そりゃ、裁判をしたら勝つでしょうけれど、田舎じゃ通用しないですね。それは、家に関しても、土地に関しても同じですね。



Q.54 農業を始めるにあたり、自己資金は必要だと思いますか。

何がやりたいかによって金額は違うでしょうけれど、必要でしょうね。

露地でやるんだったら、数十万円くらいでも出来るでしょうし。ハウスを建てようと思うなら、数百万円も要るでしょうし。


Q.55 自己資金が無いけれども就農したいという人には、何とアドバイスしますか。

お金を使わずに出来るような、自然塾、みたいな集まりがありますよね。そういうところに行くとか。ただ、そういうところは、お金儲けは出来ないです。そういうところに行く人自体、お金儲けが目的ではないでしょうけれど。

人には「自己資金が無いとしんどいよ」と言いますけれど、自分も、もし全く自己資金が無かったとしても、当時の自分の勢いを考えたら、やっていたでしょうね。



Q.56 農業を始めるなら、何歳までに始めたらいいと思いますか。

何歳でもいいと思いますよ。



Q.57 就農するにあたり、農業の勉強・研修は必要だと思いますか。

自分で就農してからでも、大丈夫だと思います。自分でやってみて、必要になったら、そのつど勉強すればいいと思います。



Q.58 新規就農者が栽培作物を選ぶにあたり、注意することはありますか。

作りたものがあるのでしたら、それを作ればいいですし。無いなら作りやすいものですね。一番いいのは、短期で作れる葉物とかじゃないですかね。

トマトだったら種をまいてから採れるまでに4カ月かかりますから、4カ月目に台風でゼロになることもあります。サイクルの短い作物だったら、1回失敗しても、また取り返せますから。そういう作物がいいと思います。




Q.59 農業に向いている性格は、ありますか。

誰とでも気さくに出来る人。かといって、自分もそうなんですが、内気で暗い感じの人が出来ないわけではないですね。



Q.60 農業を始めても役に立つ、前職の職業・資格・特技などは、何かありますか。

ちょっとした農機具でも、自分で直せるような、機械の知識がある人はいいですね。車を整備できる人だったら、草刈機やトラクターは簡単ですから。
車の免許は絶対に必要ですけれどね。



Q.61 農業・田舎暮らしをする上で、読んでおいたほうがいい本は、ありますか。

片っ端から読めばいいんじゃないですかね。自分は、10~20人の経験が書いてあるような事例集は、よく読みました。あれは、いいと思います



Q.62 100人の新規就農希望者がいるとすると、結果、100人中何人が農業で 生計を立てられると思いますか。

半分も、いないと思います。



Q.63 独身・夫婦・子供連れ、それぞれに新規就農の有利・不利は、ありますか。

独身は不利です。子連れが喜ばれます、人口が増えるから。





Q.64 農業を始めて何年くらいしたら、収入が安定すると思いますか。

たまたまうちはハウスを建てたおかげで、1年目から所得はあがりました。
そうでなければ3~4年。下手したら5年くらい、かかるんじゃないかと思います。



Q.65 例えばタイムマシンで就農を決意した時点にまで、今までの経験を踏まえて 戻れるなら、どのような方法で就農しますか。

道がないから、やっぱり同じように、行政で世話をしているような研修先を探して入ると思います。一番簡単なのは、同じ道ですね。もっと視野は広くなると思いますけれど。



Q.66 I ターン就農して良かったことは、どのようなことですか。

前に勤めていたところを、仕事が面白くなくてやめたわけでもなかったんですけれど。ただ、公務員だったから、自分が40歳になったらこんなふうになる、50歳になったらこんなふうになる、所長になったらこんなになる、そういうのが分かりきった道としてありますから。

そんなのが無い、こけるのも自分、成功するのも自分、そういう面白さは、ありますね。当然、毎日のように不安や危機感もありますけれど。



Q.67 I ターン就農を成功させるために、重要なことは何ですか。

お金が入ってくることじゃないですかね。生活していくこと。そのためには、アルバイトでもいいし、とにかくお金を稼ぐことです。

これは当たり前なんですが、I ターンの人でも、周りの農家さんでも、お金を稼ぐための手段で農業をやるという人が多いですよね。だけど、自分はまだ経験が浅いからか、青いからか「そうじゃない、お金のためにわざわざ来たんじゃない」という思いもあるんです。

例えば無農薬栽培をしている人でも「自分の子供に農薬がかかったものを食べさせたくないから、みんなにも農薬がかかっていない野菜を食べてもらいたい」という人もいるし、「農薬をかけないものを作ったほうがお金になるから、自分はどうでもいいけれど、農薬をかけないで作る」という人もいる。

出来たものを見たら同じ無農薬野菜だから買う人にとっては関係ない話かもしれませんが、自分はどっちが好きかといったら、最初の人のほうが好きです。
実際は、お金のため、という人のほうが多いですけれど。



Q.68 I ターン就農希望者に、アドバイスはありますか。

お金は、金利がつくところでは絶対に借りないほうがいいと思います。

それと、農業の仲間の集まりは、極力出たほうがいいですね。地域の人はみんな知り合い同士だし、いまいち入りにくいかもしれないけれども、それでも顔を出していたら、いい情報が入ってきたりもしますしね。そういうところで売り先を紹介してもらったことも、ありますから。

これからやろうという人は、何年やっていて成功しましたという人よりも、何年でやめました、失敗しましたという人の話を聞いたほうが、絶対に勉強になると思います。

心構えとしては「為せば成る、為さねば成らぬ」です。かといって、がんばり過ぎるのも良くない、自分の首がしまるような無理は良くないと思います。

サブコンテンツ

このページの先頭へ