営業トークには注意!水耕栽培を5000万円の資金で始めるも収穫が安定しない

土は複雑で、よく分からない。でも養分を溶かした水で、ハウス内で栽培する水耕栽培なら、都会育ちの自分でも出来そうだ。
そう考える新規就農者も、いると思います。

そう考え、Bさんは5000万円の資金を投入して、トマトの水耕栽培の設備を完成させます。2000万円が自己資金で、3000万円が借金でした。

しかし、実際に栽培してみると、どうも収穫量が安定しません。
大量に採れたと思ったら、ほとんど採れないときもあります。
安定出荷できないため、作業効率も大変悪いものとなります。

また、ハウスを建てた土地は、霧がかりやすい土地であり、トマト栽培には不向きであったことも分かりました。

結局、Bさんはトマト栽培をあきらめ、葉物野菜の栽培に切り替えます。

なぜ、安定栽培が出来ない水耕栽培施設を選んでしまったのでしょうか。そして、なぜトマト栽培に向かない土地を選んでしまったのでしょうか。

Bさんが水耕栽培施設を事前に見学したのは、茨城県であり、実際に就農したのは高知県でした。

後から分かったことですが、その水耕栽培施設を使用している人は、東日本の農家ほどうまくいき、西日本の農家はうまくいっていないという事実がありました。

これは、西日本のほうがトマト価格が低いことにも関係していますが、農業というのは、地域によって大きく違うものです。

関東でうまくいっている方法を、そのまま九州で応用しても、うまくいかないということは多々あります。

就農予定地から遠く離れた土地で研修を受けても、あまり役に立たないという意味も、そこにあります。農業は、土地と密接に結びついた産業なのです。



営業トークには用心すること

また、セールスマンの語る営業トークを信用してしまったことが、一番の原因だったと思います。

水耕栽培施設メーカーの営業マンに聞けば、いいことばかりを言います。現に、トマトの水耕栽培施設の営業マンは、この土地は(霧がかり、日照は少ないのだが)トマト栽培には最適であり、水耕栽培施設にも全く問題が無い、という言い方をします。

決して、Bさんが不勉強だったとは思いません。実際に、水耕栽培施設をつくっているメーカーにも見学に行き、農業研修も受けました。それでも「いいことを言う人」中心に話を聞き、 「悪いことを言う人」には、あまり話を聞かなかったのだと思います。

できたら、そのメーカーの施設で、同じ作物を栽培している人を探し出して、話を聞くことです。
ここでも、現場でやっている人の意見が、何より重要です。

何か大きな投資をする場合は、いいことを言う人よりも、悪いことを言う人の意見を聞くべきです。

何千万円という単位で、水耕栽培施設を造ろうというのであれば、そのために1年くらいの調査をしても、惜しくはありません。


販売が苦手

その後、Bさんは葉物栽培を続け、技術も向上していきます。
もともと技術者であったため、水耕栽培施設を上手にコントロールして、安定生産することに成功しました。

しかし、生産面ではうまくいったものの、収入にはつながりませんでした。それは、売ることが上手くなかったからです。

Bさんは、自分の性格は技術者であり、営業は向いていないと語ります。同じ作物を作っている別の農業者は、営業がうまく、自分よりも儲けられると語っています。生産している葉物野菜は、農協出荷ではなく、直接市場と取引をしていたため、できるだけ高く販売するという営業スキルが求められていたのですが、Bさんには営業が出来ませんでした。

農業は、生産だけではなく、販売も非常に重要だということを、改めて教えてくれる話です。

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