販売力のある農協の生産者になろう

農業とは「製造業」であり「加工業」であり「販売業」です。
これからは農業の「販売業」についての話をいたします。

農作物を作っただけでは、お金になりません。それを消費者に売って、はじめて手元にお金が入ってくるのであり、職業として完結するのです。

ここでも、多くの新規就農者が勘違いしていることは、作物を「作る」ことだけが農業であると思ってしまうことです。そうではなく、作物を「作って」作物を「売って」、はじめて農業となるのです。そして、作物の作り方がいろいろあるように、作物の売り方にもいろいろあるのです。

農作物をお金に変えるのに、どのような方法があるか、解説していきたいと思います。まずは農協に売るという方法について。

日本で農業を営んでいる人のほとんどは、農協経由で出荷しています。この農協という組織が、都会の人にとってはよく分からない組織だと思います。

農協には、農薬や肥料を販売する組織だとか、保険業務をやっている組織など、いろいろありますが、新規就農者が直接関わるのは、地元の単協という組織になります。地域農協とも表されることがあります。

各都道府県に、大体20箇所前後の農協があります。例えば東京都であれば、渋谷農協や新宿農協があるという感じです。(実際にはありませんが)

そして、渋谷で農業を営んでいる人は、渋谷農協を通じて出荷し、新宿で農業を営んでいる人は、新宿農協を通じて出荷するのです。

渋谷農協と新宿農協というのは、全く別の組織だと考えたほうが賢明です。お互いに競争することも、しばしばです。

例えば、渋谷農協が特産物として、トウモロコシを渋谷区民に作らせたとしましょう。
渋谷農協は、渋谷の農家が生産したトウモロコシを、全国に売って回り、トウモロコシの生産地としての地位を確立しました。

それを見ていた新宿農協が、渋谷農協の技術を真似して、トウモロコシをより安く生産し、全国のトウモロコシのシェアを奪っていったとします。すると、新宿の農家は潤いますが、渋谷の農家はトウモロコシでは生活できず、最終的にはトウモロコシ栽培を諦めることになります。

現実の農協でも、同じような産地争いは、行われています。

この場合、農家の販売力を左右するのは各地の農協であり、渋谷の「農家」や、新宿の「農家」ではありません。農家の収益は「生産力×販売力=収益」という形で表されると書きましたが、農協に出荷するということは、「販売力」の数値は、農協によって決定されるということです。

同じ1個のトマトを、50円で農家から引き取る農協もあれば、100円で農家から引き取る農協もあるということです。

トウモロコシを生産する渋谷の農家は、渋谷農協という農業生産法人の、生産部門の社員のような状態なのです。

農協というのは、会社に似ています。会社よりは、一人一人の実力が如実に反映されますが、それでもやはり、農協に出荷するということは、その農協(会社)の生産部門の一社員になったというような立場になるのです。

栽培方法なども、農協から細かく指導されることもあります。
農協出荷を考えるのであれば、販売力の強い農協を選ぶことです。

しかし、ここでも競争原理が働きます。つまり、販売力の強い農協(のある地域)には、入りたい人も多いから、新たに参入することは難しいので「先苦後楽」なのです。

逆に販売力の弱い農協(のある地域)には、入りたい人は少ないから、新たに参入することは簡単ですが、入った後に農家として生計を立てていくのは非常に難しいので「先楽後苦」になるのです。

販売力のある農協の生産者になるということは、上場企業の社員になったくらいのものです。1000万以上を稼ぐ農家が複数いる農協も、たくさんあります。

そういう販売力ある農協の生産者になることは難しいとはいえ、上場企業に入社するよりは、よほど簡単です。学歴も、入社試験も無いのですから。

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